「ブライアン・スコトコ医師講演会」の開催レポートを作成しました。
データは以下よりダウンロードください。
日本語: 開催レポート(PDF)
2013年11月24日(日)、東京築地の聖路加看護大学、講堂 – Alice C. ST. John Memorial Hall – にて、ブライアン・スコトコ医師の講演会、「米国におけるダウン症候群をとりまく最新の動向」を開催しました。当日は、晴天に恵まれ、非常に多くの方々に、ご参加頂きました。
本講演会は、家族、医療関係者、学生などダウン症候群に関わりがある方、関心のある方など、幅広い層の方に参加いただけたら、という思いから有志で委員会を作り、企画しました。たくさんの方が申し込んで下さり、定員300名の会場が満員となることがわかりました。参加者の内訳は、約半数強がダウン症候群のある人とその家族、残りの半分が医療関係者、学生、そして教育関係者、福祉関係者、行政、マスコミなどです。参加者にはお子さんを連れた方もいらっしゃることから、少しでもゆとりがもてるよう、急きょ臨時座席を用意させていただき、皆様とともに一つの空間を共有できる準備を整えました。
開会の挨拶では、変わりつつあるダウン症候群を取り囲む社会のトピックとして、今回は、医療の話題、特に、出生前診断を取り上げること、また、今後について、共に考えてみましょうと問題提起しました。
ブライアン・スコトコ医師の講演は、自己紹介と本編の2編です。自己紹介の「ダウン症候群と私」では、ダウン症候群のある妹の紹介に続き、ダウン症候群に関するご自身の論文や著書、勤務先のクリニックにおけるダウン症候群に関するチーム、情報提供に関する法令化の取組などが紹介されました。
本編 「ダウン症候群に関する出生前診断、家族にとって意味すること」 では、まず、出生前診断について、新たな出生前診断 (非侵襲的出生前診断) の説明に続き、診断を受ける人々の取りうる選択肢が示されました。続いてスコトコ医師が実施したダウン症候群を持つ両親や、兄弟、本人らの意識調査について紹介され、 「 ( ダウン症候群のある人の ) 99% が、自分の人生は幸せであると感じている」などの結果が示されました。
講演で印象的だったのは、
今後望まれる変化について、
- いかに出生前診断を提供するかについて、標準化さ れた実践的ガイドラインを作成すること
- 完全で (部分的ではなく) 、一貫性があり、立場の偏り がなく、強圧的ではない情報提供を行うために、現在 および将来の医療専門家に対する教育を行う
出生前検査について一貫性があり、ゴールドスタン ダードな情報を作成する
ことを強調していたことです。こうした取組を行う上で欠かせない支援や情報提供について、米国の 具体例も示されました。休憩を挟み、ブライアン先生へのQ&A のコーナーです。まず、参加者の皆様から事前に募集した質問への回答です。「きょうだい児への伝え方や成長過程における影響について気がかりです」 に対しては、「一つの大きな会話ではなく、日々の小さな会話の中でダウン症候群について触れてゆくことが重要」 など、一問一問、具体例を交えながら、わかりやすい回答を得ました。さらに、会場内からも質問も募ったところ、多くの参加者の方々から手が挙がりました。質問に加え、何人かの方から講演を受けた、これからの表明があったのが印象的でした。
講演の後、来場した子ども達からスコトコ医師ご夫妻への花束贈呈を行いました。最後は、実行委員の有森からの閉会の挨拶です。閉会の挨拶では、ポルカの会や、聖路加看護大学における市民と看護職の関係に関する取り組みなど、今回の講演会に至る経緯やスタンスの説明がありました。
講演後のアンケートには、参加者の6割の方から回答に協力頂きました。その96%の人々から、「満足した」「やや満足した」という回答を頂き、開催者としてうれしく思います。自由記述の欄にも多くの回答が得られていて、拝見していて、それぞれの立場の人が、それぞれに、ダウン症候群に対する理解を深めて頂き、考え、行動するきっかけとなったことが伝わってきました。
最後に、会場を提供し、その設営や託児など、講演会の実施において、全面的に協力を頂いた、聖路加看護大学、聖路加国際病院、中央区のボランティアの皆様、後援頂いた各団体さまに感謝の意を表します。
(実行委員長 近藤)
The forum on “Update on people with Down syndrome in the U.S.” lectured by Dr.Brian.G. Skotko was held at Alice C.ST. John Memorial Hall, St. Luke’s Nusing College on 24, Nov. 2013.
The aim of the forum was to provide public the opportunity to increase the awareness on update issue on people with Down syndrome with update and accurate information. The main topic was recent trend on prenatal diagnosis which were recently reported on Japanese mass media.
The forum was consisted of lecture style and bilateral session with Q&A among all the participants. Family (parents and siblings), medical professionals, students, academics, public officers, social workers, journalists, and public citizen who have interested in people with Down syndrome and recent prenatal testing joined the forum.
The main lecture by Dr.Skotko was “ Prenatal diagnoses of Down syndrome, What this all means for your family.” In his lecture, he described the current prenatal testing options for Down syndrome available for expectant women, with reviewing the efforts in the U.S. regarding prenatal testing.
According to his joint research on “self-perceptions from people with Down syndrome” with Susan P; Levine and Richard Goldstein on American Journal of medical genetics, 99% are happy with their lives.
His impressive lecture was ended with remarkable insight on ‘what change is needed’ Dr Skotko said, 1. Develop standardized practice guidelines on how to deliver prenatal diagnosis, 2. Train healthcare professionals of today and tomorrow to deliver complete, consistent, nonjudgmental, noncoercive information, 3. Develop consistent, gold-standard information about prenatal testing.
His lecture was followed by highly concentrated Q&A session. The question provided by the participants covered a broad range of fields from inclusion of children with down syndrome in society, the way to tell Down syndrome to someone, social consensus on controversial issues such as prenatal testing in terms of life ethics, etc. Participants from the floor were fascinated with the answers and attitude Dr. Skotko to face with such difficult questions.
In closing remarks, Prof.Arimori, a committee member of the forum mentioned the importance of collaborative work with public citizens and medical professionals.
According to the results of participants’ survey for the forum, 96% of the participants were satisfied with the forum. Many insightful comments were expressed and tell us that they gained a better understanding for people with Down syndrome.
Reported by Hiroko Kondo