最初の1年を過ぎると、地域の子育て支援のひろばに参加したり、公園に出かけたり、療育のグループやダウン症のある子どもたちの親の会に参加したりと外に出る機会が多くなってくるかもしれません。また、お母さんが仕事に復帰する場合は、保育園等の集団生活も始まります。
ダウン症のある子どもたちのほとんどは、保育園や幼稚園、また障がいのある子どもたちのための施設などに通所します。一般的な保育園や幼稚園では、障がいのない多くの子どもたちのなかで、時にはお友だちの手を借りながら園生活を送っています。小さいうちは風邪や中耳炎にかかりやすいかもしれませんが、年々強くなり、園や施設を休む頻度も減っていくようです。園によっては、通常の職員配置に加えて、特別な配慮をするための職員を配置してくれるところもあります。 また、障がいのある子どもたちのための施設では、歩き方、体の動かし方、手先の細かい動作、ことばの理解やおしゃべり、着替えやトイレ動作など、あらゆる角度から発達を促すよう働きかけます。施設によって、内容や通所頻度はさまざまです。
主な就学先は、地域の小学校の一般学級か個別支援学級 (特別支援学級)、そして特別支援学校です。 一般学級では、保育園や幼稚園と同じように、同じ学年のお友だちと一緒に過ごします。みんなと同じように活動するのは難しいこともありますが、クラスの子どもたちがごく自然に手助けをしてくれるようです。地域によっては、学習や活動を手助けするための支援者が配置されることがあります。 個別支援学級とは、地域の小学校の中にある、個別に配慮した支援を必要とする子どもたちだけのクラスです。このクラスに所属している子どもたちは、通常、一般学級にも同時に所属します。国語や算数の授業は個別支援学級で受け、その他の授業は一般学級で受けるなど、両方の環境で過ごします。どのくらいの時間それぞれのクラスで過ごすかは、学校によって、また子どもによって異なります。
特別支援学校は、個別に配慮した支援を必要とする子どもたちが通う学校です。多くの場合、子どもの人数が少なく、先生の数は多く配置されています。教科学習のほか、トイレや着替えなどの生活動作、作業学習などが設定されるのが特徴です。
特別支援学校では登下校にスクールバスが利用できることもありますが、地域の小学校に通う場合は、低学年の間はきょうだいと一緒に、あるいは、親が同行して徒歩通学をすることが多いようです。移動支援の制度を利用して、登下校に支援スタッフが付き添うよう手配している人もいます。
放課後の過ごし方もさまざまです。地域の小学校の学童保育や、障がいのある子どもたちのための「放課後等デイサービス」を利用したり、帰宅後、音楽やダンス、スイミングなどの習い事に行ったり、家庭できょうだいやお友だちと時間を過ごしたりしています。
中学にも、地域の学校の一般学級、個別支援学級、特別支援学校がありますが、中学校への進学を機に、それまで所属していた一般学級から個別支援学級へ、また個別支援学級から特別支援学校へと進路を変更する子どもたちがいます。中学生になると、特に特別支援学校では、教科学習の他に、将来の職業生活を意識した授業や活動が多くなります。 高校は、多くのダウン症のある子どもたちが特別支援学校へと進学します。個別支援学級をもつ高校がほとんどないことが大きな理由ですが、なかには、他の受験生と一緒に一般高校の入学試験を受け、一般高校に進学する人もいます。 特別支援学校の高等部は、小学部や中学部に比べ、所属する生徒の能力や特性に大きな幅があります。そのため、進学を目指す生徒たちのクラスから、日常生活の自立を目標としたクラスまで、その編成もさまざまです。また近年は、将来の経済的自立、企業就労を大きな目標に掲げた特別支援学校もいくつか設置されはじめました。入学に際しては厳しい審査が行われるようですが、チャレンジしているダウン症のある人もいます。
第二次性徴を迎える思春期には、異性への興味も芽生え、特定の人とデートを楽しむこともあります。また、学校の登下校だけでなく、スポーツやさまざまな習い事、買い物や美容院など、親とではなく、一人で、あるいは友だちや福祉の支援サービスのスタッフなどと行動することが増えるようです。